ゴッドファーザー パート2はヴィトのサクセスストーリーとマイケル失意と孤独を描く
ゴッドファーザー パート2は、細かいところはともかくとして、若き日のヴィト・コルレオーネのサクセスストーリーとマイケル・コルレオーネの失意と孤独を描く物語としては、とても魅力的な作品であり、好きなシーンも前作と変わらず多くある映画でもある。
若き日のヴィト・コルレオーネは、後にファミリーのコンシリエーリ(相談役)となるジェンコと食料品店で働いているが、その地域のマフィア、ドン・ファヌーチの強引な要求により食料品店の仕事を取られてしまう。店の主人はヴィトに申し訳なさそうにその事情を話すと、ヴィトはそんな主人に『あなたは本当の親父のように、自分に良くしてくれた。この恩は一生忘れない』と言い抱き合う。
このシーンに根本的なヴィト・コルレオーネの人との繋がりを大切にする精神を見ることができると思う。
それとは逆に、もちろん受けた恨みも忘れない。
シチリアを追われる身になった原因でもあり、自分の両親と兄弟を殺したドン・チッチオへの復讐を二十数年も経った後に晴らしにいく。この場面は私が一番好きな場面でもある。
シチリア経由でオリーブオイルの輸入会社を設立し、そのオリーブオイルの輸出元となる地域のドン・チッチオに挨拶にいく。 ドン・チッチオは笑顔で出迎えヴィトがコルレオーネ村の出身とわかると父親の名前を聞こうとする。
ヴィトはそっと近づき、今までシチリア語で話していたのを、英語にかえ『俺のオヤジはアントニオ・アンドリーニ(ヴィトの殺された父親)だ!これはお返しだ!!』と言ってナイフで腹を切り裂く・・・。
ゴッドファーザー パート2では組織を守るため家族といえど制裁
一方、マイケルのほうでは信じられるはずの家族に裏切られ、組織を守るために制裁を下す。
自分の実の兄フレドが、自分の欲の為に組織に多大な被害を与えるような行動を取った事実をマイケルは確信し、兄弟として一度は許そうと心を開こうとしたが、フレドはそれに応じなかった。
そしてフレドに対し、組織としても家族としても一切の縁を切る事を一度は宣告する。その際、マイケルは自分の腹心に『ママが生きている間はフレドは無事だ・・・』と伝える。そして母親の死を迎える。 そこでマイケルは妹のコニーに、母親が死んだ今、兄弟としての仲を戻すよう懇願され、フレドと和解をしてお互い抱き合うが、その目にはいかなる事があっても死の決定を覆さない信念を持つマイケルの非情な瞳が大きく印象に残る。
このゴッドファーザーというシリーズの中で、フレドが殺されるシーンは一番残酷だ。
マイケルの子供アンソニーはフレドを優しい伯父さんとして慕っており一緒に釣りに行く為、フレドは魚が釣れるオマジナイを教えてあげている。 いざ釣りに行こうとするとアンソニーは急な用事で呼び戻され、マイケルの腹心とフレドの二人で釣りに行く事になり、フレドはアンソニーの分まで魚を釣ってくる約束をし、ボートの上で魚が取れるオマジナイをしている間、マイケルの腹心に後ろから頭をぶち抜かれる・・・。
その後のマイケルが一人椅子に座っているシーンは、まさに失意と孤独を表している。自分がファミリーを守る為にした行動は、本当に正しかったのか自問自答しているようにも思える。
映画(ゴッドファーザー パート2)で観てとれるシチリア人の気質
映画(ゴッドファーザー パート2)の中のヴィト・コルレオーネとしてだけではなく、シチリア人の古くから根強く潜在的にある『信じられるのは家族だけで、全ての問題は自らの手で解決する』という気質、そして家族を守り、その為には命を賭けてまで復讐を実行する。